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ホーム ウェブ連載コラム私の1冊 > 第2回 園子温(その・しおん)

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堅苦しい考え方を解放し、
自由な表現を教えてくれました

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  僕が、おすすめするのはフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』です。

 初めて読んだのは、高校を卒業してすぐの頃。人生に迷っていたので、とにかく本を読みまくっていた時期ですね。ドストエフスキーのほかにも、ヘンリー・ミラーだったり、ジャン・ジュネ、だったり……ちょっと偏っているけど、そういう変わり者の本が好きでした。基本的に、その頃に読んだ本で、今の自分は成り立っていると思っています。

 映画も小説も“巨大”なものが好きで、よくある“等身大の人物の、等身大の生活”みたいな、そういうのはあんまり好きじゃない。『カラマーゾフの兄弟』のような3世代に渡る話とかが、大好きなんですよね。
 それともう1つ好きなところは、『カラマーゾフの兄弟』というタイトルなわりに、なかなか兄弟が出てこないところ(笑)。最初のほうは、浮気性の父親のろくでもない話ばっかりなんだけど、そこが良い。

 海外の古典って、人間の良い側面とか、立派な部分を描いたものだけじゃない、普通に考えたら「ひどいな」って思うような露骨な作品が本当に多いんですが、僕が映画であからさまな表現をやれるようになったのも、そういうブッ飛んだ作品を読んでいるうちに考え方が開放されたからだと思っています。あんまり堅苦しく考えなくていんだなって。本当に海外の古典には、表現の広さ、自由さをたくさん学びました。

 ちなみに、親父の説教みたいだけど、若い子にもよく「古典を読め」と言っています。いわゆるベストセラーとか、ブームになっているような本って、自分の中に蓄積されないというか、すぐ消えちゃうような作品も多いと思うから。『カラマーゾフの兄弟』は、『TOKYO TRIBE』に出演してくれた市川由衣ちゃんにも「読んどけ」って言いました。演じる役とはまったく関係なかったんだけどね(笑)。

園子温(その・しおん)

1961年、愛知県生まれ。映画監督。大学入学後に8mm映画を手掛け、1985年に『俺は園子温だ!』がぴあフィルムフェスティバル入選、1987年に『男の花道』がグランプリを受賞。『自転車吐息』(1990年)は、ベルリン国際映画祭のほか、30を超える映画祭で上映、以後の作品も、各国で多数の賞を受賞している。近年の主な作品に、『愛のむきだし』(2009年)、『冷たい熱帯魚』、『恋の罪』(2011年)、『ヒミズ』(2012年)、『地獄でなぜ悪い』(2013年)など。公開待機作に、『ラブ&ピース』、『新宿スワン』。また、9月30日、恵比寿リキッドルームにてアートスクールと対バンライブがある。
http://eplus.jp/sys/main.jsp?prm=U=14:P1=0005:P2=134006:P5=0001:P6=980:P10=10

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「音楽も洋楽ばかり聴いてきたので、今回の映画で核になる“日本のストリートカルチャー”とか“ラップ”に僕はすごく疎くて。でも、例えば、深作欣ニ監督が“ヤクザなんてこんなもんだ”っていう距離感で『仁義なき戦い』を撮ったみたいに、その世界に詳しくない人が撮るほうがかっこよく撮れることってあると思うんです。だから、僕もあえてラップのほうに寄らないようにした。もちろん原作は生かしつつですが、自分が詳しくない部分はスタッフに助けてもらいながら、ほかの部分で自分の中のヘンテコな記憶とか好みを、小さく細かく入れていったという感じです。ラップだけどミュージカルにしているから観やすいと思いますし、ラップやストリートカルチャーに全然詳しくない人にこそ面白がってもらいたいなと思いますね」

更新日:2014/8/25

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