学研よみものウェブ ほんちゅ!

ホームウェブ連載コラム浅野温子(女優)×小早川涼(作家)対談 女ふたりの江戸語り第1回 > カッコ悪くて懐の深い男を描きたい

浅野温子(女優)×小早川涼(作家)対談 女ふたりの江戸語り

江戸城の台所人・鮎川惣介と、幼なじみの御広敷の添番・片桐隼人が幕府にからむ謎を事件に巻き込まれながら解決していく歴史時代小説「包丁人侍事件帖」。これまでに『将軍の料理番』『大奥と料理番』『料理番子守り唄』『月夜の料理番』『料理番 春の絆』の5作が発表されています。実は、この「包丁人侍事件帖」シリーズの大ファンだという女優の浅野温子さん。そして、著者の小早川涼さんも浅野温子さんの大ファン。そんなご縁で実現した二人の対談を3回にわたってお届けします。

カッコ悪くて懐の深い男を描きたい

更新日:2013/4/22

浅野温子:初めまして、ですよね。『包丁人侍事件帖』シリーズはずっと好きで読ませていただいているので、作品はすごく身近な気がしてましたけど。

小早川涼:ありがとうございます。浅野さんが、テレビ番組の『ソロモン流』で「私のお気に入り」として私の本を取り上げてくださって、夢のようでした。取り上げてもらえるだけでも嬉しいのに、よりによって大好きな浅野温子さんが薦めてくださったなんて。「頑張って書いてきて良かったぁ」と、しばらくふわふわ宙に浮いた気分だったんですよ。

浅野:私は小早川作品に惚れて、勝手に応援団をやらせてもらってるって感じなんですけど。先生はこの対談で、初めてお顔を出されるんですって?

小早川:はい。そうなんです。

浅野:それは、作家として、読者には姿を見せないほうがいいという、お考えがあってですか?

小早川:いえいえ。たまたま機会がなかっただけというのもあるし。浅野さんみたいに綺麗だったら、「こんな美人が書いてるのか」って本が売れるような気がするけど。私なんかじゃ、売れ行きが落ちる気がして……。

浅野:そんなぁ。でも、私は作家の顔で本は買わないですよ。「私は美しい」って感じの著者写真が載ってる本は、かえって「作品はどうなの?」って疑っちゃう(笑)。

小早川:一応ペンネームも、男女どちらかわからないようにしたんですよ。たまに「女が書いた時代小説が読めるか」という読者もいらっしゃるので。

浅野:私のまわりでは、作品を読んで小早川先生が男性かと思ってたという人も多いんですけど、私、勝手に女性だとイメージしてました。

小早川:そうなんですか?

浅野:だって、男だったら、鮎川惣介みたいなドラえもん体形のカッコ悪い男を主人公にしないでしょ? 私、そこがまず好きなんですけど。

小早川:メタボ体形の主人公はこれまでの時代ものにはなかったと思います。そんな惣介が私としてはちょっと自慢なので、気に入って下さって嬉しいです。

浅野:私、カッコ良くて、剣が出来てという主人公は、あまり入り込めなくて。そこへいくと、惣介は走ると息切れするし、剣術は弱いし、いっぱい負の要素を持ってる愛すべき存在じゃないですか。 まわりの登場人物も何か欠けてる人たちばかりで、でもだからこそお互いを必要としていて、寄り合って何かをなしていくみたいな感じが、好きなんですよ。それに、惣介も他の男の人も、あんまり家族に大事にされてないじゃないですか。奥さんに辛くあたられてたり、子どもに生意気な口をたたかれてたり。そういうところが、女性の作家でなきゃ描けない部分だと思ってたんですよ。男性作家はそこ書かないもん。

小早川:理想の女性を書いたものが多いですよね。外の世界で辛い思いをしていても、家に帰ると自分につかえてくれる優しい奥様がいるっていう。

浅野:どんなにしょぼくれていても、家族には愛されるっていうのは、男にとって最後の砦なんでしょうね。

小早川:女性を生き生きと動かしたい、というのはひとつの大きなテーマなんです。私も時代小説が好きでたくさん読みますけど、控えめで聖母のような妻とか、艶っぽい美人とか、女性のパターンが決まりがちでしょ? 江戸時代だって、自分勝手だったり、言いたい放題だったり、遊び好きだったりする女性はきっといたわけで。そういうありのままの女性と、それを受け止められる懐の深い男性を描きたい、という思いは強いですね。

浅野温子・小早川涼のプロフィール


  • よくあるご質問
  • 学研70周年
  • 学研ゼミ
  • 脳と創造
  • 幸福への近道
  • マララ
  • ムープラス
  • がっけんのえほんやさん
  • フィッテ
  • 学研BookBeyond 電子書籍ストア
  • 新版 生きるヒント
  • 図解 はじめての株訂正箇所一次投票受付中

学研よみものウェブ ほんちゅ!

PAGE TOP