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ホームウェブ連載コラム河瀨直美(映画作家)×道尾秀介(作家)対談 「Jam Session」第3回 > この人が本気で人を愛することができる人か、というのも表現から一目瞭然ですね(道尾)

河瀨直美(映画作家)×道尾秀介(作家)対談  「Jam Session」

2004年『背の眼』でデビュー以来、数多くの話題作を書き続けている道尾秀介さん。その道尾さんが毎回、自らの作品をテーマにゲストと語り合うこの対談。第3回目のゲストは、道尾さんが大ファンでもある映画作家の河瀨直美さん。『萌の朱雀』で史上最年少でカンヌ映画祭カメラドールを受賞した河瀨監督と語る作品は、直木賞受賞作『月と蟹』。小説家と映画監督。異なる分野で表現を続けるお二人の刺激的な対談を3回にわたってお送りします。

この人が本気で人を愛することができる人か、というのも表現から一目瞭然ですね(道尾)

更新日:2014/01/09

河瀨:私、映画の専門学校には入りましたけど、映画ファンとして入ったわけじゃないので、映画監督も知らなければ、俳優さんもわからない。講師もしているのに、生徒のほうが詳しいんですよね。入学したての子が「僕、タランティーノみたいな映画が撮りたいんです」って言ってきて、「タランティーノって誰?」(笑)。私が知らないことが問題かもしれないですけど。

道尾:それはすごくいいと思いますよ。知識だけの根拠しかないものって、劣化コピーになっちゃいますし。たとえば僕は「ホワイト・クリスマス」を作曲したアーヴィング・バーリンが大好きなんですけど、彼は音楽教育を受けていないので楽譜が読めなかったんです。頭に浮かんだメロディーを、ピアノが出来る人に書き写させて作曲したらしいんですよね。

河瀨:私ね、普段恋をしてないと、自分の周りの景色があまり明るくない。誰かを好きでいるっていうことの中で芽生える感情は本当に深いと思います。だから、いつも恋してる感じです。

道尾:誰かを好きになると、いろんなものにセンシティブになりますよね。感覚が敏感になります。

河瀨:一生懸命でいられるんですよね。好きだな、と思える人とかものとかがあると。最近は、私のスタッフでも全然恋してない。30代でそういう子たちが多いんです。でもそれじゃ表現はできないんだよ、と思いますね。昔の小説家さんなんかも、絶対恋してはったと思うし、文体見れば、「ああ、誰かを愛してるんだなぁ」と感じますね。

道尾:文体を見れば確かにわかりますね。それともう一つ、「この人は本気で人を愛することができる人か」というのも、表現から一目瞭然ですよね。いや、もちろんそうじゃない人でも面白いものを作りますけど、読むとそこはわかります。

河瀨:うんうん。そうですね。私、外国に行くと日本語ができる大学生とかがアテンドしてくださるんです。それで一生懸命「河瀨論」とか他の映画論とかを語ってくれるんですけど、聞いているとだんだんしんどくなってくる(笑)。言葉が上滑りしてるっていうか。生々しくない。「本当に人を愛したこと、無いんじゃない?」と思ってしまいます。「愛って何?」と聞かれたら「そりゃあ、ホンマに抜き差しならないことよ」って言うしかない。そういう抜き差しならない、本当に愛した経験のある人っていうのは、やっぱり言葉ひとつが深いです。あまり多くを語らないしね。たぶん細かいことなんですよ。「そのぐらいでいいか」じゃなくて、「できることならここまでやっていたい」っていう感じのことなんだと思います。

作品紹介

河瀨直美(映画作家)×道尾秀介(作家)のプロフィール オフィシャルウェブサイト「組画」はこちら 河瀨直美 公式Twitter 道尾秀介 公式Twitter


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