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佐藤江梨子(女優)×道尾秀介(作家)対談  「Jam Session」

2004年『背の眼』でデビュー以来、『シャドウ』『龍神の雨』そして、直木賞受賞作『月と蟹』など、数多くの話題作を書き続けている道尾秀介さん。その道尾さんが毎回、自らの作品をテーマにゲストと語り合うこの対談。第2回目のゲストは女優の佐藤江梨子さん。小説もお書きになる佐藤さんとお話し頂く作品は『球体の蛇』。奇しくも本作の構想がまとまった場所「スノードーム博物館」で行なわれた話題豊富な対談を3回にわたってお送りします。

実は佐藤さん、僕より作家デビューが早いんですよね(道尾)

更新日:2013/10/10

佐藤江梨子:私が初めて道尾さんのお名前を知ったのは、NHKの「トップランナー」で特集されていたときなんですけど、こんなイケメンの人が作家さんにいるんだ、って驚いたんですよ。ブログなんか見ても、意外にちゃんとしてそうだし。

道尾秀介:ぜんぜんそんなんじゃないです。でも「ちゃんとしてる」って、どんなひどいイメージだったんですか最初は(笑)。ところで、実は佐藤さん、僕より作家デビューが早いんですよね。『気遣い喫茶』(集英社)を出されたのは、十年前、二〇〇三年だから。

佐藤:作家って言うか、そこに入れたのは落書きみたいな文章ですから。今だったらもう少しまとめて書けるんじゃないかと思うんですけど。

道尾:でもおもしろかったです、これ。僕には絶対に書けない文章ですし。そういえば僕は、自分が作家になる直前に、佐藤さんがこの本の記者会見をやっていたのをテレビで見ていたんです。ちょうど自分が「作家になりたい」と一番強く願っていたときに、佐藤さんは本を出されてるんですよね。

佐藤:いや、本を出したということでは同期みたいなものじゃないですか。だから道尾さんに初めてお会いしたときに「私と同じ歳くらいですか?」とか聞いちゃったんですよ。そしたら、「絶対にそんなわけないでしょう!」って言われて(笑)。

道尾:大きく括れば同年代かもしれませんが、僕のほうが上です(笑)。『気遣い喫茶』には、佐藤さんはご自分のことをいろいろ書かれていますよね。語感もおもしろかった。たとえば「東京生まれ、あちこち育ち」(「東京タワー」)という表現なんかはすごく印象に残りました。ちなみに僕は、どちらかというと「あちこち生まれ、東京育ち」なんです。ほんの小さい、まだ物心付く前にあちこち引っ越していますから。その後、小学一年生からはずっと東京です。なぜかウィキペディアには兵庫県生まれって書いてあるんですけど。

佐藤:そういえばこの間、道尾さんの作品を読み返していたら、「これ、ページをめくってんじゃなくて、カサブタめくってんじゃないか」ってふっと思ったんですよ。

道尾:ああ、おもしろい、それ。

佐藤:めくったら傷つくことしかないし、バイキン入るかもしれないし、もっとひどいことになるかもしれないでしょう?
これは柳美里さんに言われたんですけど、読書というのは脳と脳とのコミュニケーションだって。昔で言ったら手紙のやり取りとかがそうですけど、この文章で読者が何を想像するか、何を思うかということまで作家は頭でコントロールしながら書くじゃないですか? 道尾さんの小説は、こんな表現で悪いんですけど、ページをめくるたんびにカサブタをめくってるような気持ちになります。「めくっていいのかなぁ」と思いつつも、めくらずにはいられなくなる(笑)。
だからいつも、「ああ、めくっちゃった」って感じですよ。もうめくりだしたら、全部取っちゃえ、になっちゃう。膿になっても、バイキン入ってもいいから読みたいという人が読んだら、余計に良く感じるんじゃないかな。だから、道尾さんのファンの方って、そういう方が多いんじゃないかな、というのが勝手な印象です。

道尾:でも、そういうのが苦手な人はいるんですよね。最近、特に勇敢な読者が減って、臆病な読者が増えたような気がします。「痛いから読みたくない」「もっと柔らかいものがいい」って。

佐藤:えー! 初めて聞きました。そんな読者がいるなんて。

道尾:だって「ミステリーは人が死ぬから読まない」って人もいますよ。

佐藤:そんな(笑)。

道尾:「救い」を書くのに、肝腎の「救われるべき人」や「救われるべき世界」をしっかり書かないというのは、本当に意味がないと思うんです。たとえば、野球の小説を、プレイヤーを登場させずに書けるかというと、絶対に無理ですよね。しかし、おもしろいなあ。カサブタをめくっているみたい、というご意見は初めて聞きました。

佐藤:思い出もモノによっては、カサブタをめくるみたいな気持ちになるときってあるじゃないですか。「これはちょっとフラッシュバックしちゃうかな?」って。これを思い出せば、きっとまた傷ついちゃうけど、思い出しちゃう、とか。それに近い感じですかね。

作品紹介

佐藤江梨子(女優)×道尾秀介(作家)のプロフィール 佐藤江梨子写真集の購入はこちら 道尾秀介 公式Twitter

スノードーム美術館


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