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「ご当地ファッション」で
気持ちを伝える

 美智子さまは、国内行事にご出席のおりにも、細かい心配りをされています。
 たとえば、訪問する先々の名産を取り入れたスーツに身を包んだり、洋服の一部にさりげなくその地域で生産された織物、布地を使われたり。
 訪問先にはどんな産物があるのか、何に力を入れているのかといったことをよく勉強され、あらかじめ準備をなさるのです。

 平成四年五月、大切なご公務のひとつ「全国植樹祭」ご出席のため、陛下と美智子さまが、福岡県を訪問されたときのことです。美智子さまは白いワンピースのベルト部分とジャケットの裾に、藍の久留米絣をあしらったアンサンブルをお召しになりました。
 久留米絣とは、福岡県の久留米市周辺の地域でつくられている綿織物で、鮮やかな藍色に白い模様が織り込まれた美しい布です。日本三大絣のひとつとされ、国の重要無形文化財にも指定されています。
「久留米絣の服を着てくださっているわ!」
 両陛下のご来訪を歓迎して集まった地元の女性たちは、美智子さまのお召しものに久留米絣が使われているのに気づくと、歓声をあげました。
 絣の需要が少なくなってきていることへのご配慮もあったのでしょう。美智子さまのおしゃれの基本は、「自分がどうすれば、訪れる地域の人たちが喜ぶか」というお気遣いです。

 久留米絣のほかにも、沖縄の芭蕉布や信州紬など、美智子さまは、お召しものにさりげなく訪問先の特産品を取り入れる工夫を続けてこられました。それに気づいた現地の人々の喜びは大変なものであり、ますます親近感と敬意を覚えることになりました。
 訪問先の人たちが、文化として大切にしてきたものを、自分も大切にする――。
「ご当地ファッション」は、美智子さまのやさしさを表しています。「あなたのことを大切に思っていますよ」という真心のメッセージなのです。
 美智子さまは、そんな細やかな心遣いをされたうえで、その場でご自分の元気を差し上げるよう、いつも明るく自然に振る舞われています。お人柄からあふれるほほえみが、何よりドレスを美しく引き立てています。

 デザイナーの植田さんは、こう話してくれました。
「ファッションの観点から色と形でとらえるのではなく、皇后さまのお人柄で、お心で、お召しになるということ。それを私は最上だと思っています」

(※この連載は、毎週火曜日・全8回掲載予定です。次回は、10月3日掲載予定です。)

更新日:2017/9/26

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プロフィール

渡邉 みどり (わたなべ みどり)

ジャーナリスト、文化学園大学客員教授。
1934年、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、日本テレビ放送網入社。報道情報系番組を担当(婦人ニュース・ワイドショー・木曜スペシャル)。
1980年、担当ドキュメント番組「がんばれ太・平・洋 新しい旅立ち! 三つ子15 年の成長記録」で日本民間放送連盟賞テレビ社会部門最優秀賞受賞。昭和天皇崩御報道のチーフプロデューサー、副理事。1995年、『愛新覚羅浩の生涯』(読売新聞社)で第15回日本文芸大賞特別賞受賞。
近著に、『写真集 美智子さまのお着物』(木村孝との共著 朝日新聞出版)、『日本人でよかったと思える 美智子さま 38のいい話』(朝日新聞出版)、『美智子さま 美しきひと』(いきいき)、『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(共にこう書房)、『とっておきの美智子さま』(監修 マガジンハウス)など。

作品紹介

美智子さまに学ぶエレガンス

美智子さま_付き物_再日本女性としてお手本にしたい、皇后・美智子さまのエレガンス(気品)の秘密を、とっておきの写真とエピソードで紹介します。
定価:1,400円+税/学研プラス


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