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女がため込みがちなモノ

 女性は、誰からも愛されたい生き物。「承認欲求」を満たしてくれるモノをため込みがちです。
 よくある例をあげてみましょう。

*キッチン道具類 
 愛される妻でありたい。素敵な奥さんでありたい。よい母親でありたい。
 女性は強くなったと思われがちですが、案外と健気な存在であると言ったら驚かれるでしょうか。そう、やはり、多くの女性は、主婦として立派にその役目を果たし、そこで評価を得たいと潜在的に思っているものです。
 けれど、今の女性は仕事を持っていることが多く、家事がおろそかになりがち。
 それは仕方がないことなのに、後ろめたく思っている女性は、実はとても多いのです。
 中でも、食事作りはその筆頭。毎日毎日の献立に悩みながらも、少しでもマシなもの、マトモなものを夫や子どもたちに食べさせなくてはと思っている。まして、「食育」といって、母親の手作りのおかずが並ぶことが推奨され、それが、無言の圧力となっている場合さえもあるのです。
 料理上手は、女性の憧れ。料理上手の女性は、夫や子どもたちから愛される存在。そんな思い込みの中、女性たちは、次から次へと新たな機能的なキッチン道具に手を出してしまうのです。
 特に、「簡単で便利、時間が短縮できる」といううたい文句の道具や家電製品は魅力的に映るもの。フードプロセッサー、圧力鍋、無水鍋、あるいは、高機能なレンジ、それに、健康のためという大義名分がさらにオマケとしてつく、ジューサー、ミキサーなどなど。
 当然のことながら、それらを使いこなすことは難しいもの。使われることなく、キッチンの引き出しに押し込まれたままとなり、ただでさえ限られたスペースのキッチンが使いにくいものとなります。
 それでも、新たな製品が発売されると、「今度こそは」と買い込みがちなのです。

*洋服 
「愛されたい」という願望の強い女性がため込みがちなのが、愛される自分を演出できる洋服です。
 服は、体温調整や皮膚の保護といった用途を超えて、自己表現のアイテムとなっています。
 たとえば、ボディコンシャスな服を着る人は、身体のラインを際立たせ、女性である自分を強調したいのではないでしょうか。やわらかな色の服を着る人は、やさしくソフトな雰囲気の自分を表現したいのではないでしょうか。
 見る側は、相手が身につけている服によって、その人がどう見られたいと思っているかを察することができるものです。
 もちろん、「○○な自分」を演出するために、「○○に見える服」を選ぶことは、悪いことではありません。しかし、無意識のうちに、同じような服ばかりを選んでしまっているとしたら……。そこには、なんらかの想いが潜んでいるのかもしれません。
 数回にわたる私のセミナーに参加された方の中に、マニッシュな服ばかり着てくる女性がいました。この女性は40代後半。結婚をして子どもをひとりもうけ、離婚歴があります。
 スカートはいっさいはかないし、服の色も黒や茶など地味な色ばかり。クローゼットの中には、ユニセックスな色やデザインの服がぎっしり。そして、それが自分にはふさわしいと思っているようです。
「どうして男っぽい格好しかしないのかしら?」
 そう私が尋ねたところ、
「いかにも女っぽい服って、私、選べないんです」
 と言うではありませんか。
 聞けば、彼女の母親は女の子ではなく男の子が欲しかったとか。母親のがっかり感は、幼い子どもにもひしひしと伝わりました。
 実際に、彼女が女の子らしい服を身につけると、母親はなぜか機嫌が悪くなり、
「そんなチャラチャラした服はいけません」
 と注意したそうです。
 おそらく彼女の中には、「自分が男だったらもっとお母さんに愛されるかもしれない」「女の子っぽい服を着るとお母さんに嫌われる」という感覚がしみついているのでしょう。
 最初は母親の目を気にして華やかな服を避けていたものの、それが日常化するうちに、次第に女性らしい服は目に入らなくなりました。フェミニンな服など自分とは無縁のモノと思い込んでしまい、男性のようにパンツをはくことが当たり前になってしまったのでしょう。
 この女性のように、自分の本当の想いとは別なところで、誰かの機嫌を慮るがゆえに、ある傾向のモノを集中的に取り入れてしまうというケースは少なくありません。
 持っている服を並べてみると、自分が周りからどう見られたいのか、あるいはどう見られることを周りから求められているかが見えてきます。
 それらが好みの服であり、自分が心から欲しいと思い、手に入れた服であるなら、趣味嗜好がそこに表れているのでしょう。
 けれど、もしも「なぜ私はこんな服ばかり選ぶのだろう?」と違和感を持ったなら、それは、誰かから愛されるために、人から求められる役割を演じるために、無意識のうちに仕方なく選んだ服なのかもしれません。
 そんな違和感のある服を捨てたら、人から押しつけられていた役割を同時に捨て去ることができます。本当に好きな服を買うことで、自分の本当になりたい姿に気づくことができます。
 ちなみに、私はマニッシュな服ばかり着ていた彼女に、女性である自分にもっと自信を持ってほしいと思ったので、まずはピンクの絹のネグリジェを着ることをすすめました。そう、まずは、誰に見せるものでもない寝間着から女性らしさを取り戻すトレーニングをするのです。女性である自分を精一杯、自分で慈しむのです。
 洋服と同様、愛される自分を演出できるモノに化粧品があります。化粧品も女性がため込みがちなモノのひとつです。

*容れ物
 女性の部屋やキッチンを断捨離すると、やたら出てくるのが、密閉容器、箱、カゴの類い。使い切れないほどの量の容れ物をため込み、捨てられないでいる女性を、私は数多く見てきました。
 密閉容器の中に密閉容器が入り、そのまた中に密閉容器が入り……とまるで入れ子のような状態で封じ込められ、脚立を使わないと手が届かないキッチンの上の棚に押し込んである。そんな状況は、けっしてまれなケースではないのです。
 こうした容れ物をため込んでしまうのは、なぜでしょうか?
 女性には子宮があり、そこには子どもを宿します。女性には何かを抱え込みたい、受け入れたいという欲求が無意識にあり、それが何かを保存したい、収納したいという過剰な欲求につながっているのかもしれません。それは必ずしも実体のあるモノではなく、豊かさや誰かの心だったり……。もしくは、何かを所有していない、確保できない不安の裏返しなのかもしれません。

更新日:2015/10/30

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プロフィール

やました ひでこ

東京都出身。石川県在住。早稲田大学文学部卒。
学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片づけ」に落とし込み、誰もが実践可能な自己探訪メソッドを構築。
断捨離は、心の新陳代謝を促す、発想の転換法でもある。
著者が創出した「断捨離」は、今や一般用語として広く認知され、年齢、性別、職業を問わず圧倒的な支持を得ている。
処女作『断捨離』(マガジンハウス)は、日本はもとより台湾、中国でもベストセラーとなり、『俯瞰力』『自在力』(いずれもマガジンハウス)の断捨離三部作ほか、著作・監修を含めた関連書籍は累計300万部を超えるミリオンセラー。
本書は、初の大人の男女向けの作品。

作品紹介

大人の断捨離手帖

yamashita_cover空間を整えると、人生がととのう。溜め込みと抱え込みで、人生を重たくしている大人の男女に向けて、断捨離の極意を紹介する。
定価:本体1,300円+税/学研パブリッシング


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