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完全にわかり合えるとは期待しない

 私は、人と人が完全にわかり合うことはできない、と考えています。
 それでは相手に失礼じゃないか、とか、そんな考え方はさびしい、という人もあるでしょう。
 でも、自分自身のことだって完全にわかっているとは限りません。
 まして他人のことです。ここでいう他人とは、別の人格ということです。親子であっても、夫婦であっても、恋人どうしだって、ひとりひとり、人格を持っているのです。
 まして、上司と部下ならば、仕事でたまたま出合ったというだけの関係です。完全にわかり合いたいと思うところに、もともとムリがあるのだといえないでしょうか。

 人は、少しつき合っただけでも、おたがいに「よくわかり合った仲」だと錯覚してしまいがちです。
「わざわざいわなくたって、私の気持ちはわかっているはずだ」「いちいち伝えなくたって、こちらの事情は察してくれるだろう」。そんな風に思ったことはありませんか。
「リーダー、例の件、あのまま進めてよろしいですね」「あ、キミにまかせるよ。よろしく!」。そう了解をとったつもりで、後日、報告に行くと、「なんで、勝手に進めたんだ!」と大目玉をくらってしまった。こんなケースはめずらしくありません。
 上司の「まかせるよ」は、たとえば先方への提案書をつくるところまで。当然、提案書ができあがったら、「これでよろしいでしょうか」とチェックに持ってくると思っていたのでしょう。ところが部下のほうは、全面的にまかされたと思い込んでしまった……。
 こんな行き違いを避けるためには、上司だったら、「提案書がまとまったら、一度、目を通すから」とひと言加えればよかったのです。
 部下は部下で、「おまかせいただきましたが、念のため、チェックしていただけませんか?」とひと手間かける。この「ひと手間」が大事なのです。
 人間関係は「ひと言」「ひと手間」の手を抜いたために、おかしくなることが多いことを肝に銘じておきましょう。

◎わかり合えないからこそ、気配りを忘れない

 夫婦や恋人関係がおかしくなるきっかけは、「相手はこう思うにちがいない」という思い込みで行動したことから、ということが多いもの。たとえば、次の日曜日はどこへ行こうか、というような小さなことでも、相手の気持ちや都合はそのつど、ちゃんとたしかめたほうがいいと思います。
 勝手に予定を決めておいて、相手が都合が悪いというと、「日曜日はいつもあいてるっていってたじゃない」と不機嫌になる……。よくありますよね。
 相手はほぼ100パーセント賛成してくれるにちがいないと思うようなことであっても、相手の考えをたしかめる。大きなことはもちろん、こんな小さなことまで? というようなことでも、相手の思いをたしかめるひと手間を惜しまないこと。
 自分をわかってほしいときには、率直に、正直に、話してみましょう。相手の話はちゃんと聞くこと。わからないところがあったら、その場で話し合うようにし、わかり合えないままにしないことも大事です。

 人間関係について
 私がいままで学んだ最も大切な教訓を要約すれば、
 「まず相手を理解するように努め、
 その後で自分を理解してもらうようにしなさい」
 ということである。

スティーブン・R・コヴィー(1932〜2012)作家・経営コンサルタント

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更新日:2015/1/23

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プロフィール

井上 裕之 (いのうえ ひろゆき)

歯学博士、経営学博士、コーチ、セラピスト、経営コンサルタント、医療法人社団いのうえ歯科医院 理事長。
島根大学医学部 臨床教授、東京歯科大学 非常勤講師、北海道医療大学 非常勤講師、ブカレスト大学医学部 客員講師、インディアナ大学歯学部 客員講師、ニューヨーク大学歯学部 インプラントプログラムリーダー、ICOI国際インプラント学会指導医、日本コンサルタント協会 認定パートナーコンサルタント。世界初のジョセフ・マーフィートラスト公認グランドマスター。
1963年、北海道生まれ、東京歯科大学大学院修了。歯科医師として世界レベルの治療を提供するために、ニューヨーク大学をはじめ、ハーバード大学、ペンシルバニア大学、イエテボリ大学など海外で世界レベルの技術を取得。 6万人以上のカウンセリング経験を生かした、患者との細やかな対話を重視する治療方針も国内外で広く支持されている。
また、医療に関することだけでなく、世界中のさまざまな自己啓発、経営プログラム、能力開発などを学びつづける。成功法則の権威ジョセフ・マーフィー博士による「潜在意識」と経営学の権威ピーター・ドラッカー博士による「ミッション」を総合させた「ライフコンパス」を提唱。
現在はセミナー講師としても全国を飛び回り、会場は常に満員。2012年8月に東京・日本青年館で1,000名の講演を実現し、2014年には日比谷公会堂で1,200名を超える伝説のセミナーを成功させている。

作品紹介

たった一度の人生を、自分らしく思い通りに生きる方法

405406177X何のために働くのか。目標に向かい生きる充実した日々は、どうすれば手に入るのか――。人生の答えを求めて毎日を真剣に生きる人々に向け、歯科医師でありセラピストである著者・井上裕之が贈る渾身のメッセージ、そして「自分の価値観」を磨くためのヒント。

 定価:本体価格1300円+税/学研パブリッシング


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