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「やり抜く脳」を強化する! 
楽しみながら脳に負荷をかけるには?

 世の中の成功者で「やり抜く能力」が高い人をじっくり観察していると、脳のつかい方に、ある共通点が浮かび上がってきます。
 それは、楽しみながら脳への負荷をかけているということです。
 私自身も小学生の頃から、自分の脳に負荷をかけるのがものすごく好きな少年でした。
 たとえば、授業中に先生の話を聞きながら、それだけでは物足りず、手元では別の計算問題をしていたり、中学に入った時には英語の授業で先生が英語を話しているのに聞き耳を立てながら、辞書を隅々まで黙読していたり……。
 これは、じっくりと先生の授業を聞いているということに対して私の脳の負荷が低かったため、やらずにいられなかった行動なのです。
 正直な話、私はこれを努力や学習と呼んでいいものかどうかわかりません。いま改めて当時を振り返ってみると、ただ、自分自身はそれを楽しみながらやっていた気がするのです。
 いくつもの勉強を同時にこなすということは、ある人にとってはとてもしんどい負荷でしょう。しかし私には、黙って授業に集中することよりも、こっちのほうが、ただ単に楽しかったから、こうした負荷を次々にかけることができたのです。
 成功者にとっての「やり抜く脳」とは、そんなふうに“楽しい負荷”を積み重ねる能力のことなのだと思います。
 では、自分の脳に負荷をかけて楽しめる人と、楽しめない人の違いとはいったい何でしょうか?
 まずいえるのは、脳に負荷をかけるということは、脳の報酬回路をコントロールできているということなのです。
 そもそも、私たちの脳の特徴のひとつとして「楽をしたい」「不必要なことはしたくない」という欲求があります。
 それは、大切なことに集中するための“脳の省エネ”ともいい換えることができるわけですが、その一方で、脳には「負荷をかけて頑張るのが楽しい」と欲求する回路も存在するのです。
 重要なのは、その負荷を好む回路をいつ、どのタイミングで形成すればいいのかということです。
 たまたま私の場合、それは幼少期のことでした。
 いまでも鮮明に覚えているのは、私が幼稚園に通っていた時に経験した、ある出来事です。その日はみんなで、ひらがなの練習をしていました。
 私の字があまりにも汚かったので、担任のアライ先生が「茂木くんはもっとうまく書けるといいわね」と微笑みながら優しく言葉をかけてくれたのです。
 ひらがなの練習が終わると、みんなは園庭に行って遊んでいましたが、私一人だけは、ずっとひらがなを書く練習をしていました。
 それをたまたま見ていたアライ先生が褒めてくれたのです。
「茂木くん、うまく書けるように練習しているの? 偉いわね!」
 その時の私は、まだ知る由よしもありませんでした。この時、アライ先生から一生続く宝物をもらったということを――。

――次回に続く。

(※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。3回目の次回は5月25日掲載予定です。)

更新日:2017/5/18

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プロフィール

茂木健一郎 (もぎ けんいちろう)

1962年東京生まれ。
東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。
理学博士。脳科学者。
理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職はソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
専門は脳科学、認知科学であり、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。
2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。
2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
主な著書として、『結果を出せる人になる!「 すぐやる脳」のつくり方』『もっと結果を出せる人になる! 「ポジティブ脳」のつかい方』(ともに学研プラス)、『人工知能に負けない脳』(日本実業出版社)、『金持ち脳と貧乏脳』(総合法令出版)などがある。

作品紹介

IQも才能もぶっとばせ!やり抜く脳の鍛え方


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