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【3】「いい人」を演じているとき、
脳には負担がかかっている

「優しい人だと思われたい」

「嫌われたくない」

「悪者扱いされるのはイヤ」

 

そんな思いから、どんな頼まれごとも笑顔で引き受けていませんか?

納得できないと感じながらも、人に嫌われることを避けようとするあなたは、まさに「いい人」を演じている人なのです。

他人から嫌われたくないから「我慢しなきゃ」と自分を抑え込んでしまい、いつも相手に合わせた言動をとってしまいます。

そんな「いい人」を一日でもはやく卒業したいと思いつつも、いつも損な役回りを演じてしまう原因は、あなたの脳にあるのです。

「いい人」を演じているあなたの脳で、どんなことが起こっているのか。実はその瞬間、あなたの脳の前頭葉では抑制回路が強く働いています。

脳の前頭葉という部位では、自分に不利な方向に思考が働くと、脳に抑制をかけて思考を止めて自分を守ろうとする性質があります。

これは人間関係においてもまったくその通りで、お互いの関係に波風が立ちそうな局面で「嫌われないように」「変なやつだと思われないように」と、脳はさまざまな抑制をかけ始めるのです

いってみれば、自分自身が「いい人」をやめたいと思っても、脳自身が変わってくれないということです。

 

「いい人」をやめたいと思っても、脳が抵抗する。自分の個性を押し殺してでも、無理やり他人に合わせようと脳が働き出す……。

こうした自制の力は社会を生き抜くために必要な能力かもしれません。人は社会で生きていくため、ときには自分の気持ちを抑えることも必要です。

しかし脳の抑制回路が働いた結果として、「いい人」としての自制心が強くなりすぎ、あなたが持っている潜在能力が100あるところを10どころか、1までしか発揮できない状態になってしまうこともあるのです。

「いい人」を演じてしまう人の3つの特徴

人は社会で生きていくため、ある程度自分の気持ちを抑えることも必要だと述べました。

ですが、「いい人」のふりをして自分を偽ってしまうと、やがてストレスを抱えて苦しくなってしまいます。

面倒なことばかり押し付けられて、自分のやりたいことが全然できない……。この状態にいることの問題点は、時間や物質的な問題もさることながら、心理的なストレスを抱えている状態であることが大きな問題なのです。

「いい人」の役割を押し付けられてしまった。

「いい人で」いなければいけない。

こういった観念が、自分が本当にやりたいことがやれないという感覚につながり、やがて自己疑念、自分への信頼のなさにもつながっていく。けれども、一度「いい人」という評価を周囲からもらってしまうと、他人から期待される「いい人」という役割とのつじつまを合わせるため、その後ずっと「いい人」を演じ続けなければならない。

他人からの「あなたって、いい人だよね?」という期待を裏切らないように、がんばって「いい人」を演じ続け、一貫性を保とうとするわけです。

そして、ありのままの自分を出せないこと、本当の自分を理解されないという気持ちがストレスを溜め込んでしまうわけです

 

実は、こうした「いい人」を演じてしまう人には、いくつかの共通した特徴が見られます。

1.自分に自信がない

「いい人」を演じる人の特徴のひとつに、「自分に自信がない」ということが挙げられます。 ありのままの自分をさらけ出したら周りの人に相手にされない。そうした不安から、つい「いい人」でいようとするのです。

たとえば、何かをやり遂げたことがあり、自分に自信を持っている人なら、周りの人からどう思われても気にしません。

ですが、自分に自信がない人は、常に周囲の評価を意識し、周りの人に「いい人」と思われることを心のよりどころにしているのです。

2.自分の意志が弱い

「いい人」を演じている人は、「自分はこうしたい」という意志が弱く、自己表現が苦手だという特徴があります。相手の主張に流されやすく、他人の意見に合わせて自分の意見を決めることもよくあります。

「いい人」を演じているので、常に他人からの評価に過不足がない状態に身を置き、型にはまった言動しかすることがないのです。

自分がどう思っているかではなく、「こう思われなければならない」という思い込みや「こう思われてしまうかもしれない」という不安から、決まりきったステレオタイプの思考に陥ってしまいがちです。

3.他人の評価が気になる

「いい人」を演じている人は、「自分が他の人からどう見られているか」を常に気にするという特徴があります。そして「相手の期待に応えられる自分」でいることが何よりも大切なことと考え、行動しています。

意外に思われるかもしれませんが、このような人は「自己愛が強い人」ともいえます。普段は他人に認めてもらうため、表面的に「いい人」を演じているのですが、誰も認めてくれないという現実を突きつけられると、ときには虚無的になったり、攻撃的になったりする場合もあります。

 

「いい人」を演じて自分を偽ることは、これほどまでに無理がかかり、ストレスが溜まる、とても辛いことです。

そこでまずは、「いい人」でなければならないという考えから、自分を解放してあげましょう。

「いい人」をやめると、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。

それはストレスから解放され、自分の潜在能力が伸びて、自分らしい生き方ができるということです。

「いい人」を演じなくても、あなたの価値は変わらないのです。

 

(この連載は、毎週月曜・木曜更新、全6回配信予定です。次回は、12月17日配信予定です)

更新日:2018/12/13

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プロフィール

茂木健一郎 (もぎ けんいちろう)

1962年東京生まれ。
東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。
理学博士。脳科学者。
理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職はソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
専門は脳科学、認知科学であり、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。
2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。
2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
主な著書として、『結果を出せる人になる!「 すぐやる脳」のつくり方』『もっと結果を出せる人になる! 「ポジティブ脳」のつかい方』『IQも才能もぶっとばせ!やり抜く脳の鍛え方』(学研プラス)、『人工知能に負けない脳』(日本実業出版社)、『金持ち脳と貧乏脳』(総合法令出版)などがある。

作品紹介

「いい人」をやめる脳の習慣


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