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【5】「いい人」では
ビジネスで成功できない!?

私たちの脳というのは、抑制がかかりやすい存在だと申し上げました。

つまり、脳には摩擦や衝突を目の前の危機と捉え、自分が言いたいことややりたいことを我慢し、うまく働かなくなってしまう性質があるということです。

こうした事実を考えると、ビジネスで成功している人とそうでない人との間には、脳の働きに大きな違いがあることに気がつきます。

他人からどう思われようと、周囲が何を言おうとも気にせず、自分の信念や主義主張を貫き通すことができる。つまり、成功者とは脳の抑制から自由に行動できる人たちなのです。

世の中で成功を勝ち取っている人たちのほとんどは、脳の抑制を外すことに長けた人たちです。そのため、熱烈な支持者もいれば、同時に強烈なアンチもいるわけですが、彼らはそんな周囲の反応などに臆することもなく、常に新しいことにチャレンジしてイノベーションを起こしているのです。

アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズはその好例でしたし、現代のカリスマ経営者として真っ先に名前が上がり、テスラ社やスペースX社のCEOなどを務め、自動車産業や航空宇宙産業に大きなイノベーションを起こしたイーロン・マスクもそのひとりです。

 

「電気自動車だけを売る新しい会社をつくる!」

「都市にトンネルを掘って渋滞を解消する!」

「民間の力で火星に人類を移住させる!」

 

このように、イーロン・マスクが語る夢は、普通に考えればどれもが非現実的なものばかりです。普通の「いい人」がそんな夢を語っても誰も相手にしてくれませんし、人も資金も集まらないでしょう。

また、誰もが反対する中で、人の意見を押し切ってでも自分を押し通す意志の強さがなければ、大きなビジネスなど起こせるわけがありません。

「いい人」という言葉は「常識人」とも言い換えることができるでしょうしかし、大きな結果を出したいときに「常識人」でいることなどできないのです

 

こうした成功者の資質は、決してスティーブ・ジョブズやイーロン・マスクの専売特許ではなく、ビル・ゲイツや孫正義さんなど、大きなビジネスを成し遂げた起業家すべてが持ち合わせている資質です。

けれどもここで私は、皆さんにこうしたイノベーションを起こす起業家になってほしいと思っているわけではありません。こうした起業家の思考回路を学ぶことで、必要以上に他者を気にせず、自分のことに集中するコツを手に入れていただきたいと思っているのです。

考えてみてください。成功者たちが成功した理由は「あの人、いい人だよね」「あの人は常識人だから」などと思われているからでしょうか。

いいえ、そうではありません。

彼らは周囲に流されることなく、「そんなのは無謀だ」という批判にもひるまず、意見が違う人と対立し、ときに敵対することもためらわず、周囲が驚くような大胆な決断や、非常識と思える行動を取ることができた人たちなのです。

 

その一方で、「いい人」は脳に抑制がかかりすぎて、他人からどう思われるかを過剰に気にする傾向があります。それはつまり、自分の価値基準より他人の価値基準をより重視しているということです。

いきなりすごい結果を得られるわけはないですが、小さな一歩としてあなたがすぐできるのは、普段から「自分の意見を表明する習慣」をつけることです。

ビジネスの成功者は皆、自分の意見を強く持ち、それを諦めることなく多くの人に伝え続けた結果、成功を手にしているのです。

「いい人」というのは、自分の意見がそもそもなかったり、わからなかったりすることが多いといえます。これは、普段から自分の意見を表明する習慣を持っていないためです。

ビッグプロジェクトの企画表明? いいえ、ほんの小さなことから、スタートしてみればいいのです。

職場のみんなでお昼を食べに行ったとき、「周囲と同じもの」ではなく、まず自分から「これが食べたい」とメニューを決めてみる。特徴的な意見や立派な意見でないなどと思わずに、会議で自分の意見を述べてみる。

そんなふうに日々小さな表明を積み重ねていくことで、脳は意見表明することへの耐性をつけていき、あなたは「いい人」の思考から「自分の意見を持っている人」の思考へと変わり始めます。そうするうちに、言いたいこと、やりたいことがあるときに、ためらわず自分を通せるようになるのです。

普段からさまざまな物事に対して「自分は何が好きか」「自分ならどう思うか」ということを意識して考えるようにしてみてください。

 

(この連載は、毎週月曜・木曜更新、全6回配信予定です。次回は、12月24日配信予定です)

更新日:2018/12/20

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プロフィール

茂木健一郎 (もぎ けんいちろう)

1962年東京生まれ。
東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。
理学博士。脳科学者。
理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職はソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
専門は脳科学、認知科学であり、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。
2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。
2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
主な著書として、『結果を出せる人になる!「 すぐやる脳」のつくり方』『もっと結果を出せる人になる! 「ポジティブ脳」のつかい方』『IQも才能もぶっとばせ!やり抜く脳の鍛え方』(学研プラス)、『人工知能に負けない脳』(日本実業出版社)、『金持ち脳と貧乏脳』(総合法令出版)などがある。

作品紹介

「いい人」をやめる脳の習慣


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