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ベストセレクション

「思い出す」「思いつく」形で
お互いの意見をすり合わせる

私は学生に、つねづねこう言っています。
「何かを聞いたら、必ず何か思い出せ。何かを聞いたら、必ず何かを思いつけ」
この「思い出す」「思いつく」は、ずらす会話術にも便利に使えます。
「お話をうかがって思い出したんですが」
「今思いついたんですが」
「もう一つ思いつきました」
「思い出す」の一本槍で、相手を自分のほうに引き込むことができます。
次の3語と組み合わせれば、さらに自然になり、バリエーション豊富になります。
「ということもあります」
「そういえば」
「あっ」
「ということもあります」は、「それがあるのだったらこれもある」という感じで、同調しながら、話をずらしたり、ふくらませたりできます。「そういえば」は、相手の話で自分に気づきが生まれた雰囲気を伝えられます。
「あっ」は、どんな言葉につけても、関心の深さが鮮明に伝わります。同じ内容でも、
「あっ」がつくと、たった今、この瞬間に……というリアル感が生まれます。会話では、そういう臨場感がものを言うのです。
「あっ、今思いついたんですけど、たとえばこんな案もあります」
といった言い方は、ずらすだけでなく、話の呼吸を合わせる上でもナイスです。
「気づきの多い人だ」という印象を与えられる。相手からも話題を引き出せる。相手の「理解されている」という満足感も高めることができる。そういう心理的な充実感を与え合うことが、議論を深めることになります。

一方で、「でも」「だって」を多く使う人がいます。
そう言われると、なんとなく不愉快になってしまうのではないでしょうか。
たとえばディベートなどでは、「イエス」「ノー」をはっきり言う必要があります。
しかし、人生では、「反対です」「違うと思います」と口にする必要はありません。「これからは、人の意見には正面切って反対しない」と決心してもいいぐらいです。
そもそもディベートは、対立軸を持ち込む欧米的な話し方から生まれたもの。
Aと言われたら、たとえ自分もAだと思っていても、あえてBと言うことで議論を進める。そういう欧米的な議論術は、少なくとも日本国内では、なじみません。
ディベート的な技術や、英語的なコミュニケーションの発想も確かに大切です。
でも、普通のビジネスや会話の場では封印しましょう。
でないと、内容とは無関係に、感情的なところでイヤがられてしまいます。
会話は感情のやりとりが8割。そこがうまくいけば、内容が2割でも、「実に内容のある話ができた」という印象が残るのです。
反対に、内容の伝達を8割にしようとして感情を逆なでしてしまうと、「まったく内容のない話だった」と思われます。
人の話に反対する必要はないし、反対してうまくいくこともないのです。

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更新日:2014/8/1

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プロフィール

齋藤 孝 (さいとう たかし)

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大大学院教育学研究科学校教育学専攻 博士課程等を経て、現在、明治大学文学部教授。専門は、教育学、身体論、コミュニケーション論。 著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社文庫・毎日出版文化賞特別賞受賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス・新潮学芸賞受賞)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『読書力』(岩波新書)など多数ある。

作品紹介

15秒で自分を伝える「会話」の授業
好かれる・認められる・信頼される人になる65のテクニック

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