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第3回 内向型でいることは、悪いことなのか
~ジュリアンとカリナの場合~

青春時代には悩みがつきものです。体の問題、心の問題、人間関係の問題がさまざまに入り交じって、そこからまたまったく別の悩みが生まれたりもします。恐ろしくもあり、おもしろくもありますね。人間関係は広い海のようなもの。でも忘れないでください。船を漕ぎだすとき、外向型の人たちも、彼らなりに不安を感じているのです。航海のしかたを教えてくれるお兄さんやお姉さんがいるとしても、あるいはハイスクールものの映画をたくさん観たことがあるとしても、幼稚園のときから人気者だったとしても、不安なことに変わりはありません。

ニューヨークのブルックリンに住む高校三年生の男子ジュリアンは、とても人気があって、みんなのカリスマ的な存在です。写真が趣味だというジュリアンが、自分の経験を話してくれました。おとなしくしているとみんなに注目してもらえないのがわかって、とても苦労したとのこと。

「すごく変な子だったと自分でも思うよ」

そう言って笑いました。

「小中学校のあいだずっと、おとなしいのは恥ずかしいことだと思ってて、なにか行動することで注目を集めようとしてた。人のシャツに落書きしたり、人のペンを盗んだり、みたいなことをしてね。けど、そうして家に帰っても、いい気分にはなれなかった。いまは落ち着いて、人を怒らせるんじゃなく、人と接点を持とうと心がけてる。昔みたいに虚勢を張るのはやめたんだ」

同じくブルックリンに住む十五歳のカリナは無口な女の子で、他人と接しなければならない状況になると、とても不安になると言います。そんなとき、ジュリアンはうるさく騒いだり人を怒らせたりすることで自分の内向性を隠そうとしましたが、カリナは思考がストップしてしまったそうです。

「相手が同じ学校の生徒だったとしても、だめなの。相手が誰であれ、自分が変な子だと思われたくない、おかしなことを言ってしまったらまずい、と思ってしまう。もともと、考えていることを言葉にするのが苦手なんです」

ニューヨークを拠点として活動する心理学者のチェルシー・グリーフ博士が、カリナのような人がどうしたらいいか、アドバイスしてくれました。グリーフ博士が話してくれたのは、聡明で芸術の才能があるけれど、ほかの子とおしゃべりするのが苦手な、ある五年生の女の子のことです。

その子は友だちの輪をもっと広げたいと思っていました。とても仲のいい友だちが学校にふたりいるのですが、そのふたりがそばにいないときは、ひとりぼっちで心細い思いをしていたのです。グリーフ博士はその子に、苦手な状況に対処するためのイメージトレーニングをするように勧めました。

「どんなふうに会話を始めるか、頭の中で筋書きを考えるといいですよ」

カリナの場合は、まず、ほかのグループの中に、あの子となら落ち着いて話せそう、という子を見つけることから始めました。そして、あとでまた一緒に座ろうね、一緒に遊ぼうね、というふうに声をかけることを最終目標にしました。こんなふうに具体的な計画を立てたことで、余裕が生まれました。人でいっぱいのカフェテリアのテーブルにむやみに近づいていって玉砕する、ということがなくなりました。

グリーフ博士によると、会話のきっかけを作るセリフをいくつか用意するといいそうです。単純なものでかまいません。たとえば「週末はなにしてた?」とか、「今度の学校行事、おもしろそうだよね?」とか。それだけで、気持ちに余裕を持って人に話しかけることができるようになります。

 (※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。次回は3月29日掲載予定です。)

更新日:2018/3/22

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プロフィール

スーザン・ケイン

プリンストン大学、ハーバード・ロースクールを卒業。<静かな革命>の創設者のひとり。著作の『Quiet』(邦訳『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』、古草秀子訳、講談社)は、世界40の言語に翻訳され、『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラーになる。出演したTEDの動画の視聴回数は1800万回を超える。「思慮深いリーダーシップ」で、ハーバード・ロースクールのCelebration Award を受賞。『Inc.』誌により、「世界のリーダーおよびマネジメント専門家50人」に選ばれた。現在、夫とふたりの息子とともに、ハドソンリバーバレーに在住。

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グレゴリー・モーン

作家。ビル・ナイとの共著により、『Jack and the Geniuses 』シリーズをはじめとする子ども向け読み物を多数発表している。

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エリカ・モローズ

『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラーとなった多くの子ども向け読み物の出版に、執筆協力者または共著者として関わっている。作家のほかに、助産師、陶芸家の顔も持つ。ニューヨーク在住。

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【訳】西田 佳子 (にしだ よしこ)

名古屋市生まれ。東京外国語大学英米語学科卒業。英米文学翻訳家。訳書に〈警視キンケイド〉シリーズ(講談社)、『赤毛のアン』『小公子セドリック』『すごいね! みんなの通学路』(いずれも西村書店)、『ホートン・ミア館の怖い話』(理論社)、『テラプト先生がいるから』(静山社)、『わたしはマララ』(学研/共訳:金原瑞人)、『僕には世界がふたつある』(集英社/共訳:金原瑞人)などがある。

作品紹介

静かな力

内向型の人が自分らしく生きるための本

プリント全米ミリオンセラー『Quiet(内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力)』のスーザン・ケインによる同テーマの最新刊。
定価:1,400円+税/学研プラス

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